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足のしびれや痛み(2012年10月30日掲載)

松本 光史・クリニック絆

神経圧迫、血流に原因

健康管理のためウオーキングを日課にされている方が多いと思います。歩き出してしばらくすると、足がしびれたり、痛くなって歩けなくなり、しばらく休むとまた歩き出せるという経験はないでしょうか?

このような症状を専門的に間欠性跛行(かんけつせいはこう)と言います。原因として二つのことが考えられます。一つは足の血流が悪くなっていること、もう一つは腰の神経の圧迫によるものです。代表的な疾患として前者は閉塞性(へいそくせい)動脈硬化症、後者には腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)があります。

閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化により足の血管が狭くなったり、詰まってしまって十分な血流が得られない病気です。血管が狭いうちは、足の筋肉がより血流を必要とする歩行時のみに、しびれや痛みが現れますが、進行して血管が詰まってしまうと安静時にも同様の症状が現れ、足の色が変わったり、黒くなる「壊疽(えそ)」という状態となり、切断に至るケースもあります。

腰部脊柱管狭窄症は、背骨の腰部分(腰椎)の神経を収めている脊柱管が加齢などの原因で狭くなり、神経組織が圧迫されることにより起こる病気です。この場合、腰痛は必発ではありません。しかし腰椎を後屈させた時、足にしびれを伴う腰痛があったり、前屈させると足のしびれや痛みが軽減する場合は、この病気の可能性が高いといえます。

両者を見分ける一番簡単な方法は足の「脈を取る」ことです。足の甲(こう)、内側のくるぶしの後ろにはそれぞれ動脈(足背(そくはい)動脈、後脛骨(こうけいこつ)動脈)が走っており、血流に問題なければ「脈を取る」ことが可能です。閉塞性動脈硬化症では血流が低下しているので、脈が弱かったり、触れなかったりします。最終的な診断はエコーや造影CT、MRIなどの画像診断によります。

診断の次は治療ですが、同じ間欠性跛行でも原因によって治療内容が異なります。同じ症状でもその原因を見極めること(鑑別診断)が重要で、先入観にとらわれずに、疑いをもって診療することが大切です。何か気になることや疑問に感じることは、かかりつけやお近くの先生に相談し、健康で明るい日々を送りましょう。