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子どものいびき(2012年10月23日掲載)

嘉数 光雄・那覇市立病院

成長障害起こすことも

昔から「いびきをかいて気持ちよさそう」という表現がありますが、成人の場合と違って、子どもはすやすやと眠るのが普通です。

しかし、約10%の子どもはいびきをかくと言われています。いびきが大きく、呼吸が止まったりするようであれば、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

いびきの原因として脳に原因があることもまれにありますが、ほとんどは鼻から気管までのどこかで呼吸が妨げられ、閉塞性(へいそくせい)と言われるものです。

子どもの場合、閉塞性呼吸障害の原因は、のどちんこの左右にある扁桃(へんとう)が大きくなる口蓋扁桃(こうがいへんとう)肥大や口蓋垂(こうがいすい)(のどちんこ)の裏側のアデノイドという器官が大きくて鼻閉が生じ、口呼吸となるために起こります。顎が小さかったり、舌が大きくて、のどに落ち込むことが原因となることもあります。

いびきがひどく、無呼吸があれば、夜間の脳への酸素供給が少なくなり、睡眠も浅く、脳も十分な休息がとれないので、昼間にぼーっとしたり、昼寝が長かったり、成長ホルモンの分泌が悪くなり、成長障害を起こすこともあります。さらに、漏斗胸(じょうごきょう)という胸の変形をきたすこともあります。

大切なことは、専門の病院で、睡眠ポリグラフ検査をしてもらうことです。睡眠中の無呼吸の回数や呼吸が止まる時間を測定するため、モニターを付けながら1泊入院し、脳波の測定、呼吸・血液酸素の状態、睡眠の深さと質を計ります。

耳鼻咽喉科では口蓋扁桃肥大、アデノイド肥大による鼻閉がないかなど、口と鼻の中をしっかり診察してもらい、レントゲン検査や内視鏡検査を行うこともあります。

原因が口蓋扁桃やアデノイドであれば、手術することで速やかにいびきや無呼吸が改善することが期待できます。

扁桃という器官は、免疫システムにかかわる部分であるため、小さいうちに扁桃組織を摘出しても大丈夫かと心配されるご家族も多いです。しかし、一般的には2、3歳を過ぎれば大きな弊害はないことが分かっています。近くの病院で相談されてみてはいかがでしょうか。