検診や人間ドックで行う血液検査に、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ―GTPなどの肝機能を調べる項目があります。人間ドック受診者の肝機能異常の割合は、3人に1人と増加傾向にあります。肝機能異常と言われ、病院受診を指示された方は、その後どうされていますか。
「前の日にお酒を飲みすぎたせいだろう」「体調も良く、元気で症状もないから大丈夫」と考え、そのまま様子を見ていませんか。
お酒のせいと思っていても、今まで気付かなかった肝臓の病気が隠れていることもあります。肝臓は「沈黙の臓器」といわれています。かなり進行するまで自覚症状がほとんどないため、体調が良くても肝臓の病気がないとはいえません。
進行すると肝硬変や肝臓がんに至ることもあります。そのような病気がないか調べ、適切な治療を行い進行を予防する、肝臓病の早期発見・早期治療が、肝機能異常の精密検査の目的です。
では、どういう病気をチェックするのでしょうか。ウイルスが原因となる病気に「B型肝炎」「C型肝炎」があります。肝臓病の中で最も進行しやすく、必ずチェックすべき病気です。これは血液検査で調べます。
また、生活習慣病(メタボ)を原因とする「脂肪肝」も注目されています。以前は、あまり心配ない病気と考えられていました。しかし、最近は脂肪肝が増えており、一部は肝硬変や肝がんへ進展することが分かってきたからです。脂肪肝の診断には、血液検査だけでなく超音波検査などの画像検査が必要です。
もちろんアルコールの飲みすぎも肝機能異常の原因となります。飲酒量が多くなれば、肝硬変や肝がんへ進行しますので、軽視はできません。
薬の副作用で肝機能異常が起こることもあります。病院で処方される薬に限らず、市販薬や健康食品も原因となることがあるため、問診で忘れずに申告してください。
肝機能異常と言われ、精密検査を受けたことがない方は、肝臓病の早期発見のために、一度は病院でチェックを受けることをおすすめします。