トイレの時「痛い」「出血した」「コブができた」など、びっくりしたことはありませんか。「痔(じ)になってしまった?」「腸の病気も心配。病院を受診するべきか、このまま様子を見るべきか」。さあ、あなたならどうしますか。
痔の話から始めましょう。成人の3人に1人は、痔をもっており、多くの方がお尻のトラブルを経験しているといわれています。トラブルの内容は、トイレの時の症状に加えて「肛門の周囲がかゆい」「排便とは関係なくずっと痛い」などがあります。
痔は良性の疾患で、がんなどの悪性の病気に進むことはほとんどありません。肛門のかゆみ、痛みの原因が痔であれば、取りあえずは安心! でも、本当に痔だけ?
大腸ポリープや大腸がんが出血の原因かもしれません。大腸カメラ検査も受けてください。大腸に異常がなければ、ここで、本当に一安心です。痔の治療は、じっくりと腰を据えて考えればよいでしょう。
痔にはいくつも種類があり、痔核(じかく)(静脈のコブ)、裂肛(れっこう)(肛門の傷)、痔ろう(肛門周囲の化膿(かのう))を痔の三大疾患と呼びます。
痔の治療は保存治療(切らずに治す)が基本になります。排便のコントロール(便秘や下痢を改善する)や、薬の使用で治していきましょう。注射の治療などもあり、痔があるからといって、いきなり手術をすることはありません。しかし、我慢に我慢を重ねてきた方には、初めから手術をお勧めすることもあります。
最後に、診察や検査を受けるための病院選びを考えます。肛門科では、痔など肛門疾患の治療を行います。その中で、まれに大腸の病気が肛門の治療に影響することがあります。病気によっては治療がうまくいかないことや、治療後に悪化することもあります。
このため、肛門科でも大腸の検査が必要で、最近は「大腸肛門科」として大腸カメラ検査も行うようになっています。つまり、肛門科を受診すれば、お尻の診察から大腸の検査まで受けられるということです。
「痔主」の皆さん、快適な生活を取り戻すために、できるだけ早い行動を!