皆さん、頭痛に悩まされたことはありませんか? 実に日本人の4人に1人(約3千万人)が頭痛持ちと言われています。
頭痛は基礎疾患の有無で大きく二つに分けられます。一つは命を脅かしかねないクモ膜下出血などの脳卒中や髄膜炎、脳腫瘍などによる二次性頭痛です。意識障害や半身まひ、言語障害などの症状を伴うことが多く、専門的な医療機関での治療が必要になります。
もう一つは基礎疾患がなく、慢性的な経過をたどることの多い一次性頭痛で、緊張型頭痛、片頭痛に代表されます。外来で頭痛の相談を受ける大部分は、一次性頭痛です。
一次性頭痛のうち緊張型頭痛は頭を締め付けられるように重く鈍い痛みと表現されます。パソコン業務のように長時間、同じ姿勢を続けることで首や肩のコリが慢性化し、寝込むほどではありませんが、梅雨空のように常に頭がスッキリしない頭痛です。パソコンに向かう時間が長い方は1、2時間に1回5分程度、肩甲骨周囲をほぐすようなストレッチを行いましょう。
次に片頭痛は、月に数回ズキンズキンと脈打つ痛みがまるでカタブイ(夕立)のように起こります。中には光や音、においに過敏になったり、ギザギザした光が見えたり、吐き気などの前兆を伴う方もいらっしゃいます。体を動かすととてもつらく、部屋を暗くして寝込みたくても学校や仕事を休む訳にもいかず、市販の頭痛薬でお茶を濁している方が多いのが現状です。
しかし、これらの頭痛に対し、頭痛薬を頻繁に飲んで痛みを抑えることを繰り返していると、痛みに対し敏感になって頭痛薬が手放せなくなり、毎日のように頭痛が誘発されるようになります。この状態を薬物乱用頭痛と言います。月に10回以上、3カ月続けて頭痛薬を飲んでいらっしゃる方は、一度、医師に相談することをお勧めします。最近は片頭痛に対する予防薬もあり、頭痛時に点鼻薬や注射薬などを使い分けることも可能になりました。
頭痛は我慢しなくてもいい時代になりました。お薬の使い分けや日常生活をうまく工夫し、皆さんが頭痛から解放されますように。