女性で最も死亡率の高い「がん」は乳がんや子宮がんでなく、大腸がんであることを知っていますか? 男女合わせても、10年後には最もかかりやすい「がん」になるとされています。今回は、そんな大腸がんの治療についてお話しします。
大腸がんも、他の「がん」と同様、治療の基本は無秩序に増え続ける「がん」を手術で取り除くことにあります。手術だけで治療を終わらせるには、早期発見、早期手術が重要であることは言うまでもありません。
しかし残念なことに、「がん」が発見された時にはすでに進行してしまって、周りに広がったり(浸潤)、元の場所から遠く離れた場所に飛び火してしまったり(遠隔転移)、手術をしたにもかかわらず再発した場合には、どんな治療を行っても、なかなか治すことは難しいのが現状です。
しかし、仮に肝臓や肺への転移が見つかった時は、「がん」を残さず取り除くことができれば、完全に治せる可能性が高いため、手術が勧められます。
現在では、手術機器の発展や外科医の技術の進歩によって、鏡視下(腹腔鏡、胸腔鏡)手術という小さな傷で行う手術が、積極的に行われるようになってきました。傷の痛みが少なく、術後の回復が早いため元の生活に早く戻ることができます。初めは手術ができない場合でも、先に抗がん剤や放射線治療を行ってがんを小さくしてから手術をすることもあります。
しかしながら、手術ができるのは再発した「がん」の2〜3割です。そのため、いかに再発させないかが大事と考えられ、再発の可能性が高い方には、再発予防のための抗がん剤治療を行うことが勧められています。
副作用が怖くて治療を受けたくないと思っている人も多いと思いますが、副作用を軽くする方法や薬も進歩してきています。最近では、ほとんどの人が軽い仕事をしながら外来で治療ができるようになってきています。
治療について十分に理解し納得した上で、本人に合った、適切で、質の高い治療を受けていただきたいと思います。