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てんかん(2012年4月24日掲載)

嶺間 博隆・中頭病院

「怖い病気」は誤解

「てんかん」は、まれな病気、怖い病気、というイメージを持たれる事が多い様ですが、それは誤解です。

てんかんは大脳神経細胞の規則的な電気的活動が突然乱れるため、脳の症状(発作)が反復性(2回以上)に起こり、慢性に経過する疾患です。日本には約100万人の患者さんがいるとされています。

てんかんは一つの疾患ではなく、発症年齢、発作症状、脳波・CT・MRI等の検査所見、治療への反応の様子等から、細かく病型分類されています。

患者さんが医師の目の前で発作を起こす事はめったに無く、発作で意識を失うと何が起こったのか自分で説明できませんので、症状を目撃した方の証言は診断をするうえで重要です。

実際に痙攣(けいれん)発作を見た場合には、静かに危険の無い場所へ患者さんを寝かせましょう。着衣を緩め、吐いた物が気管に詰まらないよう、顔を横に向けます。「舌を噛(か)ませないために」とロの中に物を入れると、かえって嘔吐(おうと)を誘発する事があり危険です。通常、発作は数分で止まります。10分以上続く場合は救急車を要請して下さい。

てんかん治療は抗てんかん薬の内服が主体で、多くの薬剤の中から患者さんに合った薬剤をできるだけ少ない量で用いるのが原則です。

治療は長期間にわたりますが、発作が抑制されていれば日常生活上の制限事項は多くありません。発作が抑制されていなければ、学校の先生や職場の上司に病気に関して十分理解してもらう事も必要です。

また、寝不足や過労、薬の飲み忘れなどで発作を起こす事がありますので、患者さん本人の自覚と努力、そして周りの人の協力が大切です。

小児期発症のてんかん患者さんの約70%で、発作が寛解すると言われています。最終発作から2〜4年の後、治療の中断を考慮しますが、おのおののてんかん病型により再発の危険度は異なるため、主治医とよく相談すべきです。

一人でも多くの方にてんかんを正しく知っていただき、誤解や偏見の解消につながれば幸いです。