脳梗塞(のうこうそく)は脳の血管が詰まり、脳の働きが悪くなる病気です。
脳卒中(のうそっちゅう)(脳梗塞、脳出血そしてくも膜下(まっか)出血)の中で最も多く、全体の約6割を占めており、最近さらに増えています。
その多くは生活習慣病、すなわち高血圧、糖尿病、高脂血症(こうしけっしょう)、喫煙そして肥満などによる動脈硬化(どうみゃくこうか)が原因です。また心臓の脈の乱れ(不整脈(ふせいみゃく))が原因で脳梗塞を起こすこともあります。
脳梗塞の治療では、血液の流れをよくする薬の点滴や内服を行う場合がほとんどです。しかし薬の点滴や内服による治療で脳梗塞に改善が見られず、重い後遺症(こういしょう)を残す場合があります。
脳梗塞になってから3時間以内であれば、薬の点滴で詰まった血管の流れを元に戻すことができます。しかし3時間以上たってしまうとこの治療ができないのです。残念ですが、この場合ある程度後遺症が残ってしまいます。
しかし、ここであきらめるのは早いです。最近このような場合に脳血管内治療ができるようになり、重い後遺症を残さずに治せるようになってきました。脳の血管の中に細い管(カテーテル)を通して、血管のいろいろな病気を治す治療法を脳血管内治療といいます。最近の道具の進歩は目覚ましく、脳血管内治療で詰まった血管を元に戻すことができるようになったのです。
この治療法では「8時間」以内であれば詰まった血管を元に戻すことができます。さらに点滴で詰まりを元に戻せなかった場合でも、血管内治療を追加して行うことができるのです。今まであきらめるしかなかった多くの場合でも、後遺症を残さず治せる可能性が高まっています。このように脳梗塞の治療は日々進歩しております。
しかし脳梗塞は予防が最も大切であるということに変わりはありません。脳梗塞の予防とは生活習慣病の予防です。また脳梗塞を疑うような症状があれば、なるべく早く病院を受診することも大切です。
予防と早めの受診、そして最新の脳血管内治療で脳梗塞を撃退しましょう。