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生理痛の原因(2012年3月13日掲載)

平岡 邦彦・県立北部病院

我慢しないで相談を

女性特有の体調不良のうち、多くの女性が悩んでいる症状の1つに生理痛があります。あるアンケート調査によると、3人に1人が生理痛に悩まされていると回答しています。生理痛は「月経困難症」という症候群の症状の1つです。

月経困難症は「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2つに大別されます。機能性でも器質性でも、主症状である下腹部痛の原因は、子宮内膜で合成されるプロスタグランジンという物質による子宮の過収縮です。

この物質は月経期に最も多く分泌され、体内へも循環します。そのために月経期には、吐き気、下痢、頭痛など、その他の不快症状が同時に起こることがあります。

「機能性月経困難症」は、初経後、数年後より始まり、年齢とともに次第に軽快します。ほとんどが鎮痛剤や漢方薬内服などの治療で症状の緩和が可能です。

一方、「器質性月経困難症」は子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などの器質的疾患に伴うもので、これらが時として治療を要する病的症状の原因となります。

子宮腺筋症や子宮筋腫は30歳以上の年齢に好発しますが、子宮内膜症は10代の後半〜20代の女性にも発症し、最近増加傾向にあるようです。子宮内膜症は、子宮内膜様組織が子宮の内腔以外の場所で増殖し、炎症や癒着を引き起こす病態です。この炎症や癒着が原因で不妊症となることもあります。

子宮腺筋症と子宮筋腫は病名が似ており紛らわしいのですが、子宮腺筋症は子宮内膜様組織が子宮の筋層内にくい込み、子宮全体が腫大する病気で、子宮筋腫はコブ状の良性腫瘍が子宮にできる病気です。

「器質性月経困難症」は加齢に伴い悪化することが多いので、できるだけ早い時期に治療を開始することが大切です。状態により手術療法も選択されますが、薬物療法でも症状の軽減と病状の進行を遅らせることは可能です。

日常生活に支障をきたすほどの生理痛があるのなら、我慢をしないで、ぜひ産婦人科医に相談してみてください。