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AED講習の効果(2012年3月6日掲載)

本竹 秀光・県立中部病院

一般市民も救命可能

AED(自動体外式除細動器)という表示を空港や公共の場で目にすることが増えてきました。皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、AEDの利用方法を理解している市民はまだまだ少ないと思われます。

わが国では2004年に非医療従事者のAEDの使用が認められ、公共施設への設置が始まりました。県内でも現在、800以上の施設でAEDが設置されているようです。

最近、国内のAEDの普及率と救命率が米国の医学雑誌に掲載されました。05年から3年間で9千906台から8万8千265台と増加し、AED施行率は1・2%から6・2%に増加しました。心肺蘇生で救命された患者さんの中で、社会復帰率はAED施行例が31・6%、施行しなかった例が14・4%と圧倒的な差を認めたと、AEDの効用を報告しています。

最近当院で経験した症例を紹介します。心臓手術歴のある78歳の男性が、講演中にトイレに立ち、そこで倒れ近くにいた人に発見されました。施設職員の一人がすぐに駆け付け、心肺停止状態と判断、直ちに心臓マッサージを行い、施設に備え付けのAEDで除細動を行った結果、心拍が再開、そのまま救急隊に引き渡され当院へ搬送されました。

患者さんは当院で専門的な処置を受け、後遺症も残すことなく元気に退院、社会復帰されました。AEDで除細動を行った職員は、2年前に一回だけ講習を受けた経験があるものの、うろ覚えで自信がなかったが、機械から流れてくる音声メッセージに従ったら問題なく除細動ができたと述べています。一回の講習が一人の命を救ったのです。

現在各市町村の消防ではAED講習会を定期的に開催しています。出張講習会も可能のようですので、ぜひ一度受講をお勧めします。心臓が止まってから1分ごとに10%ずつ救命率が低下するといわれています。通報から現場到着までの時間は、平均6・3分といわれています。救急隊を待っていては救命率が格段に低下します。居合わせた市民の「迅速な通報」「迅速な蘇生」「迅速な除細動」が救命の鍵を握るのです。