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がん診療ガイドライン(2012年2月7日掲載)

戸板 孝文・琉球大学放射線科

正しい情報収集が必要

昔は不治の病の代名詞だったがんですが、近年の医学の進歩により多くの患者さんの完治や延命が可能になりました。がん治療に関する情報はあふれています。新聞・雑誌はもちろんのこと、インターネットで検索すると情報は無数にあると言っても過言ではありません。あやしい情報に惑わされることなく、最適な治療を受けることが必要です。

約10年前より、EBM(Evidence Based Medicine=根拠に基づいた治療)という言葉が多く用いられるようになりました。昔はそれぞれの医者が、自分の経験や知識を頼りに治療が行われることが少なくなく、がん治療も例外ではありませんでした。

同じ病状でも、医者(病院)により全く異なる治療が行われることも珍しくありませんでした。がんの治療はとても専門性の高いものです。ほんの少しのボタンの掛け違いで治るものも治らなくなってしまう(命を落としてしまう)こともあります。

今ほとんどのがんについて「がん診療ガイドライン」がまとめられています。その分野の専門家が十分に話し合い、合意(コンセンサス)を得た標準治療(科学的な効き目と安全性が証明された治療)が載っています。がん診療に携わる多くの医師は、これらのガイドラインを参照し科学的な根拠に基づく治療を心掛けています。目の前の患者さんの全身状態や治療への希望などを総合的に検討して、最終的な治療方針を決めていきます。

しかし、まだまだ自分の(限られた)知識や経験、専門性にこだわる医師がいるのも残念ながら事実です。患者さんや家族も正しい情報を収集し、十分に確認をすることが必要です。インターネットでがん診療ガイドラインを見ることができます(無料)。がんの診療で不安や疑問がある場合には、ぜひ参考にされてください。

(1)日本がん治療学会http://www.jsco-cpg.jp/top.html

(2)NCCNガイドライン(米国でまとめられたガイドラインを一部日本語で閲覧可能)http://www.tri-kobe.org/nccn/index.html