空港などで何気なく人の顔を見ておりますと、どこから見てもウチナーンチュ、ヤマトゥンチュ、台湾人、アメリカ人などとさまざまな顔が見えてきます。ウチナーンチュの中でも、また目鼻立ちがくっきりしているチュラカーギー(美人)や鋭い顔でジンブン(知恵)ありそう、などさまざまです。
「乳がん」と一言で言いますが、乳がんも人の顔と一緒で、患者さん一人ひとり、がん細胞一つひとつをとってみると、そのキャラクターはさまざまで、時代が進み研究が進むにつれ、乳がんの多様性というのが次第に分かってまいりました。
腫瘍が大きいのか小さいのか、わきの下のリンパ節に転移があるのかないのかといったことから、顕微鏡レベルで分別する悪性度、分子レベルで判断するホルモン療法や化学療法の有効性といったことが見えてきます。
実際我々(われわれ)は顕微鏡をのぞいて、この細胞「顔つきがいいねー」とか「悪いねー」とか言うのであります(がん細胞が、こっちを向いてにらんでいるわけではないのですが)。
早期に見つかって手術のみで済むタイプ、大きくても非常におとなしいタイプ、小さくてもものすごく悪性度の高いタイプなどさまざまで、それぞれの“顔つきや性格”にあった治療を行うことが非常に重要となり、患者さんへの治療のoptimization(最適化)をお示しするのが我々の使命だと考えております。
今世紀に入ってからのがん医療の進歩はめまぐるしいものがあり、乳がん治療においても時代の変遷とともに生存率が向上していることが証明されております。
乳がんは、進行していてもある程度の治療効果が期待できる、そんな時代になってまいりました。しかしながら早期発見、早期治療を上回る治療法はいまだに開発されておりません。
というわけでこの“おっぱいのおはなし”のまとめです。皆さん乳がん検診を受けましょう。すべての乳がんがウチナーンチュみたいにチュラカーギーでジンブナーならいいのですが。