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眼瞼下垂と皮膚がん(2011年12月20日掲載)

峯 龍太郎・豊見城中央病院

テレビ放映後は患者増

形成外科の外来診療では、しばらくの間同じ病状や主訴の患者さんの受診が続くことがあります。例えばまぶたが下がって見えにくい眼瞼下垂(がんけんかすい)とか、黒子(ほくろ)や老斑(ろうはん)(しみ)が気になるとかです。

なぜだか分かりますか? 健康問題をテーマにしたテレビ番組の影響で放送後に心当たりのある方々が受診するからなのです。今回はこれらの例についてお話をさせていただきます。

まずはまぶたですが、眼瞼下垂のせいで見えにくくなるというのはお分かりだと思います。しかし、より見えやすくするため、知らないうちに眼球の直上のまぶたを開く筋肉から脳へ信号が送られ、その返信で自然に眉毛を持続的に上げたり首をうしろに曲げてあごを上げ、見やすくするようにすることで普段使わない筋肉が疲労して、頭痛や肩こりの原因となることがあります。

放送後は眼瞼下垂の手術が続き、肩こりまで治ったという方が結構いらっしゃいました。

次に黒子や老斑のケースですが、美容に目覚めてということではなく、実はがんを心配しての受診が続くことがあります。

加齢とともに老斑が増えるのと同様に、皮膚がん発生も増えます。いずれも形成外科医としてはよく見かける病気ですが、こんなときには放送のことを私自身は知らなくてもテレビの影響かな?と思うことがあります。

さて、皮膚がんは初めの手術で十分な大きさと深さを切除することで完治させることができることが多いという特徴があります。

しかし、大きく深く切除するほど修復手術を上手に行わないとより醜い傷痕を残すことになります。また皮膚がんは顔面など人目につくところにできることも多く、形成外科医の腕の見せどころでもあります。

そうはいっても何事にも限度があり、できものが巨大になっても跡形もなく治せるというわけではありません。小さいうちに治療したほうが傷痕もより目立たなく治療できるといえますので、黒子や老斑の色合いや大きさ、形の変化が気になる時は早めの受診をお勧めします。