パン、餅、芋、肉の中で肥満になりやすい食品はどれでしょうか?正解は、肉以外の全てです。意外に感じた方も少なくないと思いますが、カロリー数や脂肪に着目する“常識”はどうやら間違っているようです。
生活習慣病対策の一環で成人のダイエット指導をして気付くことは、世の中には星の数ほどのダイエット法がありますが、医学的には根拠のないものが目立つことです。それは、血糖コントロールの仕組みと肥満の関係が見落とされているからです。
血液中の糖は脳や筋肉のエネルギー源として重要なため、適切な値にコントロールされています。食後に血糖が高くなると、血糖を下げようとしてインスリンホルモンが分泌され、血液中のブドウ糖が太る細胞である脂肪細胞に移動します。つまり、人間の体は血糖を下げる代わりに体を太らせているのです。
米・麦・芋・とうもろこし・砂糖などを原料する食品は、胃腸で消化されるとブドウ糖などの糖に分解されて吸収されます。血糖が上がりやすく太りやすい食品と言えます。
一方、タンパク質や脂質は血糖をほとんど上げません。従って炭水化物を必要最小限に減らし、タンパク質・脂質・ミネラル・食物繊維・ビタミンなどの栄養素を幅広くバランスよく食べることが健康的なダイエットの秘訣(ひけつ)です。
もう一つの鍵が、かむこと。ひとくち30回かむことで早食いを防ぎ、満腹感を感じながら食事を終えることができます。炭水化物制限としっかりかむことで健康的にダイエットできます。
肥満は甲状腺機能障害などのホルモン異常が原因のこともあります。従って、このような病気が隠れていないかをチェックし、コンピューター断層撮影(CT)を用いて内臓脂肪の量をきちんと評価してからダイエットプランを指導しています。
適切なダイエットは、単に体重が減るだけでなく、高血圧・肝機能障害・糖尿病・高コレステロールも改善し、最も優れた予防医学だと私は考えます。
さあ、今日から主食を控えて、ひとくち30回かみましょう。