予防接種は感染症から命を守る重要なものです。抗生剤や抗ウイルス剤でいろいろな感染症に対する治療ができるようになっていますが、予防接種をすることでその感染症に罹(かか)らないで済むという素晴らしいものです(罹っても軽くで済みます)。
多くの感染症は人から人へうつります。予防接種をすることでその感染症に罹らなければ人へうつすこともなくなるわけです。これは一人一人がお隣さんや地域の人を守ることになるのです。
個人を守り集団を守る。以上の2点が予防接種を行う意義で、昔から変わらないものです。最近は「予防接種で予防できる病気(VPDと言います)に対しては予防接種を行う」ことを当たり前に行っていくという機運が高まっています。
しかしながら無関心で全く予防接種を受けさせていない方や、軽微な副反応や裏付けのない有害事象を気にするあまり、予防接種の意義をどこかに忘れてきて受けさせない方もいます。無関心な方には啓発が、後者の方へは的確な情報提供が必要です。一方で、ポリオのように現在のワクチンに対する不安のため外国から個人輸入で予防接種を行う方もいます。
大多数が助かるのであれば少数の被害はやむをえない、という考えは一種の暴論ですが、一方で少数といえども副反応による健康被害が起こるかもしれないので危険、受けないほうがいいというのも極端な意見です。これらのことについては昨今のネットによる情報過多の影響が大きく、多くの方が大なり小なりの目に見えない不安を持っているためと思われます。
保護者の皆さまには仕入れた情報を基に、かかりつけの小児科医に相談の上、安心して予防接種を受けていただきたいと思います。小児科医は病気もみますが、育児のことや予防接種のことも皆さまのサポーターになりますので、ぜひかかりつけ医を見つけてください。
VPD=Vaccine(ワクチン)・Preventable(防げる)・Diseases(病気)については次のサイトが大変役に立ちます。www.know-vpd.jp(KNOW☆VPD)