「サルコペニア」をご存じでしょうか?加齢性筋萎縮症といい、何やら難しい病気のイメージが浮かびます。しかしこれは決して病気ではなく老化現象の一種です。
体重を支える下肢、姿勢を保持する背筋、腹筋ほど加齢により筋肉の萎縮が進行します。筋萎縮は個々の筋繊維の数と大きさが減ることで起こります。
太ももにある大腿(だいたい)四頭筋(外側広筋)は30代から筋繊維が減少し始め、50代からはさらにその現象が加速し80代では20代の60%以下になるようです。
おなかが出ていて恰幅(かっぷく)はよいが、脚は細いおじさんを見たことはありませんか。まさにサルコペニアです。サルコペニアによる筋力低下は腰痛、肩こり、膝関節痛などの原因にもなり、女性では骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を助長させます。
しかし、悲観的になる必要はありません。筋トレでこれを防ぐ、あるいは改善することができます。年のせいだからとあきらめてはいけません。
海外の論文では100歳の老女の筋トレによる筋肥大が報告されています。また変形膝関節症や変形性腰椎症の方が筋トレでその痛みが軽減あるいは消失した例は数えきれません。
私自身も腰椎分離症、腰椎椎間板ヘルニアの持病をもち、30代前半までは同僚にブロック(注射)をしてもらったこともありましたが、30代後半から始めた筋トレで、ブロック不要となりました。
昨今は空前の健康ブームでいたるところにフィットネスジムができています。近くにジムがない、あるいは通う暇がなくても、数多くあるトレーニング本、DVDでホームトレーニングも可能です。
数あるトレーニングの中で最もお薦めは筋トレ種目の王道ともいえるスクワット(一度しゃがみ込んでから再び立ち上がる動作)です。脚、背中、腹を同時に鍛えられます。私も200キロのバーベルを肩に担いでスクワットができるようになりました。
公的年金問題に象徴される老後の資金問題。せめて“貯筋(ちょきん)”だけでもしっかり行い、健康寿命を全うしたいものです。