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タンパク尿と血尿(2011年9月13日掲載)

島尻 艶子・ちばなクリニック

生活習慣病見直そう

何年も前から健康診断で尿タンパク、尿潜血陽性という方は結構いらっしゃると思います。タンパク尿や血尿が3カ月持続する場合、慢性腎臓病(CKD)といわれます。また、タンパク尿や血尿がなくとも「腎臓の働きが悪い」と指摘された場合もCKDといわれます。

いずれも原因はさまざまですが、進行すると腎不全となったり悪性腫瘍が見つかったりするので、定期検診での早期発見と早期治療が重要です。

原因によって治療は異なりますが、尿や血液検査、画像検査などで経過を追いながら、主に生活習慣病の治療を中心に行うことにより、いくらか進行を抑えることができます。

また腎炎の一部は、入院して検査を行い、特殊な薬で進行を抑え、治癒する場合もあります。

残念ながら腎不全が進行し自分の腎臓では日常生活を送ることが困難となった場合は、透析療法か腎移植という治療法になります。

透析療法は、腹膜透析(おなかに管を挿入し、透析液を繰り返し入れ替えて血液の毒素を取り除く、家庭でできる治療)と、血液透析(手術で太くした血管から血液を導き、特殊な膜を通して毒素を取り除く方法、週3回通院する場合が多い)があります。患者さまの状況に合わせて選択します。

幸い日本の透析技術は世界でトップクラスですので、上記の治療を行いながら社会復帰のチャンスもあります。腎移植は文字通り腎臓をもらう手術を行います。

日本透析医学会から、これまで増加の一途だった透析導入数が、去年初めて減少した、という報告がありました。

要因として「透析導入前に腎移植の恩恵を受けた」「生活習慣病の治療が奏功した」などがあると思われます。内科医としては、後者が主な要因であればうれしい限りです。

今や成人の8人に1人がCKDといわれ、脳血管障害や心筋梗塞の発症に大きく関与することも分かっています。タンパク尿や血尿、腎機能低下を指摘されたら、早めにかかりつけ医に相談しましょう。