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シガテラ魚中毒(2011年9月6日掲載)

島津 光邦・やんばる協同クリニック

頭痛やしびれ生じる

フグ毒ほどの強い毒ではありませんが、人が食べると頭痛、しびれなどの神経症状を生じさせることがある「シガテラ毒」のことをご存じでしょうか?

多くの種類の大型魚が体内に持っている可能性があり、身近に起こる可能性がある「シガテラ毒による食中毒」についてお話します。

最近の事例から。6月のある日、主婦のAさんは近所の店で買った鮮魚で魚汁を作り、夫と一緒においしい夕食を取りました。その夜は普段と変わりはなかったのですが、翌朝から口唇の周りのしびれ感、手足には氷に触れているような異常に冷たい感覚など、経験したことのない症状を自覚しました。夫も全身の脱力感を訴えました。

Aさんが受診したクリニックでは「シガテラ魚中毒が強く疑われる」と診断。Aさんの協力を得て保健所で調べてもらったところ、食された魚は地域ではよく食べられているものですが、まれには当たることがあるという情報が得られました。Aさん夫妻は軽い方の症状でしたが軽快するまで1週間以上かかりました。

この中毒は次のようなメカニズムで起こるとされています。発端はサンゴ礁に生息する渦鞭毛藻(うずべんもうそう)というプランクトンが産生した毒素(シガテラ毒)に始まります。有毒なプランクトンを食べた小型魚を大型魚が食べる食物連鎖の過程で大型魚の体内には高濃度にシガテラ毒が蓄積されていき、これを人が食べることによって中毒が生じることになります。

主には神経毒として作用し、食べてから6時間以内に嘔吐(おうと)・下痢などの消化器症状が、数日以内にめまいや頭痛、筋肉痛、四肢および口唇周囲のしびれ感などの神経症状が生じます。

これらの症状に思い当たる場合は、医療機関を受診し相談してください。中毒の原因となる魚種は、熱帯から亜熱帯のサンゴ礁に生息するオニカマスやドクウツボなど大型魚で400種類以上にも上ります。

書店で手に入る「魚図鑑」にも要注意とされている魚種が記載されているものがありますので、参考に利用されることをお勧めします。