近年、食生活の欧米化や高齢化に伴い、日本でも動脈硬化による疾患が増加してきています。その代表的な疾患である心筋梗塞や脳梗塞はよく知られていますが、足にも同じように動脈硬化が起こってきます。
動脈硬化によって足の血管の動脈が狭くなったり、詰まったりして、血流が悪くなる疾患のことを閉塞(へいそく)性動脈硬化症といいます。閉塞性動脈硬化症の約40%に、心臓または脳血管の動脈硬化性疾患を合併していると言われています。
症状としては4段階に分けられ、足のしびれや冷感(1段階)が最も軽いもので、次に、歩くと足が痛くなり、休むと痛みがなくなる、間欠性跛行(はこう)(2段階)というものがあります。
症状が軽いうちは、年のせいかなと思ったりして、症状が悪化してから病院を受診する患者さんもいます。ヘルニアのような腰の病気の症状にも似ていることから、最初に整形外科を受診する方もいます。
そのため、整形外科から循環器内科や血管外科へ紹介される場合もあります。
閉塞性動脈硬化症が疑われた時の最も簡単な検査法として、血圧脈波検査があります。これは、両方の上腕と足首の血圧を同時に測定し、足首(アンクル)と上腕(ブラキアル)の血圧の比を見る検査で、ABIと略します。通常、足首は上腕の血圧よりも少し高いため、ABIは1・0より高くなります。ABIが0・9を下回ると、足の動脈が狭くなったり、詰まったりしている場合があると考えられます。
その後は、超音波、コンピューター断層撮影装置(CT)、磁気共鳴画像装置(MRI)、カテーテル検査などにより診断をつけることになります。
喫煙者、透析や糖尿病患者では、安静時の痛み(3段階)や、足に潰瘍や壊死(えし)ができる(4段階)ような重度の症状から発見されることもあります。
この場合、重症下肢虚血と言われ、下肢を切断するリスクが高まり、命に関わることもあります。やはり何事も早期発見が重要と言うことでしょう。足に症状を自覚したら年齢のせいとは考えずに、まずは専門医の受診をお勧めします。