以前、学校健診で肥満を指摘された小学生が受診しました。血液検査の結果、肝臓の異常を示す数値が高く、超音波検査を受け、脂肪肝であることがわかりました。
通常の脂肪肝でみられる数値より高かったため、肝臓の一部を採って詳しく検査しました。
その結果、肝臓に脂肪がたまったことをきっかけに炎症が起こっていました。線維化も伴っており、進行すると肝硬変に至る状態でした。非アルコール性脂肪肝炎という病気です。
その後、この児童は食事と運動療法で約10%体重を減量し、肝臓の数値はほぼ正常化しました。このように、小学生でも肥満が原因で重い合併症を起こしかねないのです。
発育期にある子どもの肥満は、年齢と身長に基づいた標準体重と比較して実測体重が20%以上超え、なおかつ体脂肪がたまっている状態とされています。
中学生は腹囲80センチ以上、小学生は75センチ以上、または腹囲を身長で割った値が0・5以上の場合、内臓脂肪増加の目安とされています。
肥満による合併症は、高血圧、2型糖尿病、脂肪肝、脂質異常症そして高尿酸血症があります。これらから子どもでも動脈硬化が進んだり、糖尿病に合併する症状が発症することが考えられます。
運動面では走ることや跳ぶことを苦手にする傾向があり、骨折や関節障害を起こしやすくなります。また、体形のことを指摘されて悩む場合もあります。
全国的に学童の約10人に1人が、沖縄県では約8人に1人が肥満です。お子さんが「肥満かな」と思われたら、ぜひ小児科を受診してください。一般的な診察と、血液検査などから治療が必要な肥満症かどうか判断します。
極端なダイエットは、発育と発達に悪い影響を与えてしまいます。医師や管理栄養士と共に、適切な運動と食事療法を行います。
間食を含めた食事内容や夜型社会の改善など、家族で生活習慣を見直すことが大切です。生活習慣病予防は子どもから始まっています。