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閉経後の出血(2011年8月16日掲載)

古堅 善亮・古堅ウィメンズクリニック

産婦人科受診早めに

閉経とは年をとってきて月経がなくなることをいいますが、日本人の平均は約50歳です。閉経後の出血は、産婦人科医が日常よく遭遇する症状で、それほど珍しい症状ではないのですが、時に重大な病気が潜んでいることがありますので注意が必要です。

米国の教科書では、閉経後の出血の原因で一番多いのは粘膜の萎縮(いしゅく)によるとされていて、約60%とされています。次いでホルモン作用によるものが約20%です。欧米では閉経後に女性ホルモン剤を使用している方が約20%いて、そのため出血するのですが、日本では使用率が2〜3%と低いため多くはありません。

ただ、閉経後間もない時期は卵巣の働きが完全になくなってはいないため、時に出血がみられることがあります。

そのほかポリープなどが約10%で、残りの10%はがんによるものです。つまり閉経後出血した方の10人に1人はがんであるということです。出血の量は多量のものから、茶色っぽく下着に付着する帯下までさまざまです。

がんは子宮がんであることが圧倒的に多く、その場合子宮頸(けい)がんと子宮体がんの2種類あります。子宮頸がんは40〜50歳代の比較的若い人に多く、子宮の入り口にでき、婦人科がん検診で見つかるものです。

一方、子宮体がんは子宮の奥にできるがんで50〜60歳以降に多く、普通のがん検診では見つかることは少ないのです。そのため婦人科がん検診を受けているから子宮がんではないと言い切れません。

以前日本では圧倒的に子宮頸がんが多く、子宮体がんが少なかったのですが最近は子宮体がんが増加してきていて、欧米ではすでに逆転しています。

子宮体がんは初期のうちから出血を起こすことが多く、進行も比較的遅いので早期のうちに見つけることが可能であり、早期に見つかればほとんど治ります。出血があった場合、どこから出血しているのか確認することがとても重要です。

そのため、閉経後の出血がみられた場合、できるだけ早めに産婦人科を受診していただくことをお勧めします。