整形外科の治療とは、病気やけがに対し投薬、注射、手術などを行い、その運動機能をできるだけ元に回復させることです。
この治療に際し大変重要なものにリハビリテーションがあります。リハビリテーションとは、心身の機能障害に対しいろいろな方面からの治療、アプローチを行うことです。
特に医療関係の専門が行うものを医学的リハビリテーションといい、整形外科ではその中の運動器リハビリテーションとして運動療法、物理療法などを行い機能回復を図っています。
医師の診察を受けた後、リハビリテーションの指示が出るとその指示の下、理学療法士や作業療法士がリハビリテーションを行っていきます。
各関節に対する可動域訓練や、各筋肉に対する筋力訓練など、個々の機能を向上させる内容から、姿勢・歩行状態など体全体のバランスを向上させるもの、日常生活動作の指導などさまざまな内容を行っていきます。
特に手術後の患者さんにとっては、術後の痛みや外固定などの影響で関節の動きが固くなったり筋力低下が起こったりすることがあります。これらを回復させるにはリハビリテーションがとても重要なのです。
ある患者さんが膝の人工関節の手術を受け、術後膝関節の可動域訓練や膝周囲の筋力訓練を行いました。ある日、主治医の先生が診察中に日常生活動作としての正座のお話をしたところ、その患者さんは「できますよ」と診察台の上で正座をしました。
通常膝の人工関節の手術後は正座ができないことがほとんどなので、これには主治医もビックリしました。この患者さんは術後の可動域訓練をしっかりと行うことで正座が可能となりました。
これはかなり特別な例で、全ての患者さんが、手術後すぐに正座ができるようになるわけではありません。
しかしこのようにリハビリテーションで運動機能を回復させ、これが日常生活レベルの向上につながることが期待できます。