脳卒中のリハビリと聞くと、「動かなくなってしまった手足を元のように動かせるようにしてもらえる」と思われがちです。
患者さんによって脳卒中の程度はまちまちで、脳の傷の場所によって症状も異なります。残念ながらリハビリで破壊された脳細胞を元通りにすることはできず、壊れた脳細胞の機能が障害として残ります。
脳卒中のリハビリでは「残った周りの脳細胞に障害を助けてもらう」「少ない神経をカバーする筋肉をつくる」「関節を軟らかくして動きやすくする」「失われた機能をほかの形で補う」など、いろいろな方向から患者の状態・環境に合わせた対応を行っています。
一般に脳卒中のリハビリは時期によって、急性期・回復期・維持期と大きく三つに分かれています。
急性期とは、脳卒中発症から1〜数週間の時期です。脳卒中の進行や肺炎などの合併症が起こりやすい時期のため、病状の安定を確認しながら、関節が硬くなったり筋肉がやせたりするのを予防します。
急性期の治療が落ち着いた回復期では、リスク管理の下、機能の改善を図ったり、自分でできる日常生活の範囲を広げていきます。また地域生活に向かえるような支援を行います。
退院後の維持期では、毎日の自主トレーニングと生活の中でのリハビリを継続していきます。家族の協力も大切ですが、なるべく自分自身でできることを行うことで、社会生活の範囲が広がっていきます。
近年、医療の高度化に伴い、医療機関は質の高い医療を提供するために機能分化・専門化が進んでいます。脳卒中も急性期・回復期・維持期でリハビリを提供する病院・施設は分かれています。県内では切れ目のないリハビリが継続できるように、30以上の施設が集まり脳卒中医療連携委員会を定期的に開いています。
急に起こる病気で患者・家族とも不安が大きいと思いますが、時期に合った適切なリハビリが受けられるように、担当医と相談することをお勧めします。