「夜、急に何かにおびえて叫びます。昼間も落ち着きがありません」―。先日こんな相談を受けました。いろいろ話をうかがって「もしかしたら?」と原因の一つに思いついたのは東日本大震災でした。
地震や津波の直接的な被害がほとんどなかった沖縄でも、このような心への影響は起こり得ます。これはテレビなど映像メディアの普及が大きな要因です。
「9・11テロ事件」が起こった2001年、アメリカではテレビでビルが崩れ落ちる映像が繰り返し流された影響で、精神的に不安定な子どもが増え、大きな問題になりました。
東日本大震災でも津波や原子力発電所などの映像を繰り返し見た子どもたちの間に、さまざまな心の問題が起こっています。例えば「登校を嫌がる」「夜泣き」「過度に甘える」など、いつもと違った状況に困惑している親御さんも少なくないようです。
災害報道は重要ですが、悲惨な映像を繰り返し見ると心は傷つき、大人でも不安になったり気分が落ち込んだりします。子どもたちに震災報道を繰り返し見せることは、よくありません。
必要な情報収集は新聞やラジオも活用して、テレビのつけっぱなしは避けるべきです。見る必要がある時は子どもに不安を与えないように、内容を説明して「今のあなたは安全です」と伝えましょう。
また、大人が動揺すると子どもにも影響を及ぼします。大人はできるだけ落ち着いた態度を見せ、子どもに不安を抱かせないようにしましょう。子どもの話に耳を傾けることや、楽しい生活を続けることも重要です。
そしてイライラしたり、怖くなったり、楽しくなくなったりなどのさまざまな感情の変化は「異常なことではなくて、誰にでも起こる正常な反応」と教えてあげてください。
もしもお子さんの激しい感情や行動の変化にお困りの時は、遠慮なく専門家に相談しましょう。震災報道は上手に活用し、被災地の支援や今後の防災について、子どもたちと一緒に考える機会が持てたら素晴らしいですね。