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リンパ節腫脹(2011年5月31日掲載)

宮城 敬・ハートライフ病院

大きさ、硬さなど注意

「ぐりぐりがある」という症状で病院を受診される患者さんをしばしば経験します。多くはリンパ節が腫れるリンパ節腫脹(しゅちょう)が認められます。リンパ節とは、体中を張り巡らしているリンパ管の途中にあるリンパ組織の一つで、リンパ液の中の異物や病原体をろ過したり、生体を守るための免疫反応に重要な役割を担っています。

異物や病原体に対する免疫反応やほかの細胞が入り込んでくることで、リンパ節腫脹が生じます。リンパ節腫脹の原因の多くが感染症ですが、そのほかの原因としてはリウマチなどの自己免疫疾患、アレルギー、薬剤などがあげられます。

そして、注意すべきものにがん転移や悪性リンパ腫などの病気があります。どのようなリンパ節腫脹に注意すればよいのでしょうか?

これから述べることは成人についてであることをご了承ください。腫れているリンパ節の大きさが直径1センチ未満の場合ほとんど心配はいりませんが、1・5センチを超えてくる場合には注意が必要です。

首の左右や顎の下、足の付け根のリンパ節腫脹は健常成人でも認められますが、鎖骨の上のくぼみ(鎖骨上窩(じょうか))にある場合には注意が必要です。

40歳以上の方で鎖骨上窩にリンパ節が腫れている場合、がんが発見される可能性が高いとされています。リンパ節の表面が滑らかで軟らかくころころと動く場合にはあまり心配はいりませんが、表面が粗雑で硬く動きが悪い場合には注意が必要です。

経過や痛みも重要で、数日のうちに急に腫れて、痛みを伴う場合は炎症が原因のことが多いのですが、数週間から数カ月かけて腫れてきて、痛みを伴わない場合には注意が必要です。二カ所以上の領域でリンパ節が腫れる、いわゆる全身性リンパ節腫脹の場合にも注意が必要です。

全身性リンパ節腫脹が現れた40歳以上の成人には4%のがんのリスクがあるとされています。注意が必要なリンパ節腫脹がある場合には、詳しい検査が必要となりますので、医療機関の受診をお勧めします。