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めまい(2011年5月24日掲載)

堀川 恭偉・もとぶ野毛病院

ひどい症状は受診を

脳神経外科、そして現在は総合診療で長く医療にかかわっていますと、頭痛と同様に「めまい」にもよく遭遇します。「めまい」は自然に回復することが多いのですが、まれに重症で後遺症を残すこともあります。

目が回ることを私たちは「めまい」と呼び慣らわしています。目がぐるぐる回ることを医学用語では「vertigo(バーティゴ)」といいます。

一方、目が回るわけではないが、目がくらくらして頭がぼんやりすることも、われわれは「めまい」と呼びます。これを医学用語では「dizziness(ディズィネス)」として区別します。

Vertigoタイプの「めまい」は、体のバランスをつかさどる三半規管や小脳と深い関係を持っています。例えば、自分の体をぐるぐる回して急に止まると、体のバランスが取れなくなり、ひどい場合は立っていられなくなり、倒れてしまいます。

「めまい」の弱い状態は、動揺感として前後左右にゆれる感じで、船酔いや、車酔いとも似た感覚です。

「めまい」が長時間におよぶと吐き気や気分不良をとなり、大変つらいもので、中高年の方が朝起きたら目が回るといってよく病院を訪れます。

これは加齢で脆弱(ぜいじゃく)となった三半規管に、ストレスの刺激が加わることで過敏になるからです。じっとしていればおさまりますが少しでも動くと、ぐるぐる回りだして吐いたりもします。

軽い場合は、数日で自然に消失しますが、ひどい場合は、医師の診察と治療が必要です。

一方、「めまい」には怖いタイプもあります。とある日の外来に昨晩遅くまで友達とおしゃべりして朝方に、「めまい」を起こした二十歳の女性が来院しました。

良性の「めまい」にしては若いし、安静にしても止まらない「めまい」も普通ではないと判断し、頭部のコンピューター断層撮影(CT)検査をしたところ、小脳の出血でした。脳腫瘍(しゅよう)に関連した出血だったのです。

じっとして治まる「めまい」に危険はありませんが、じっとしていても治まらない「めまい」は危険です。すぐに病院へ行きましょう。