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子どもの近視(2011年5月10日掲載)

石川 哲夫・那覇眼科医院院長

成長期 目も“伸びる”

子どもの成長を見守る中、「背が伸びてほしい」と考えるお母さんお父さんは多いかと思います。しかし目も一緒に伸びるのをご存じでしたか? 目が伸びるといっても、外見ではあまり代わり映えしませんが、目玉が大きくなる、特に奥行きが伸びる場合があります。

奥行きが伸びると近視(近くは見えるけれど遠くは苦手、という見え方)になります。これだけが原因とはいえませんが、成長期の子どもたちに、眼鏡を掛け始める子が急増するのは、目の伸びが主な原因になっていると考えられています。

実際に赤ちゃんはかなりの遠視です。体だけでなく目も小さいからです。そして体や心の成長とともに目玉も成長し、遠視が減ったり、遠視がなくなって正視(遠視でも近視でもない状態)になったり、もっと目玉が大きくなって近視になったりします。

遠くを見やすくする(近視矯正)方法として、眼鏡やコンタクトレンズ(以下CL)のほか、最近では、寝ている間に特殊CLを付けるオルソケラトロジー(以下オルソ)や、レーザーを用いて手術するレーシックなどがあります。

オルソでは、日中眼鏡やCLもつけずによく見えますが、目やCLの調子が悪い時は治療を中断し近視に戻ります。また通常のCL同様、調子の良い時でも3カ月ごとの定期検査が必要です。

レーシックでは、昼夜問わず眼鏡やCLなしで見えますが、後で目の形が変わり、効果が弱まる方もいます。日本眼科学会では、厚生労働省認可オルソケラトロジーは20歳以上、レーシック手術は18歳以上に限るとしています。

それだけに小中高生の近視は、まず環境整備、眼鏡、その後必要に応じてCLの併用という選択肢になります。従ってCLだけを使うという方法は原則的ではないことを知っておきましょう。

お子さまの目が伸びないようお祈りしすぎたり、叱りつけたり、プレッシャーをかけたりしないためにも、まずはお近くの眼科へ相談してみてください。お子さまの健やかな成長をお祈りいたします。