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放っておけない高血圧(2011年4月19日掲載)

具志堅 成恭・守礼クリニック

動脈硬化が進行

しばしば診察室で「血圧を下げる薬は一生涯飲まないといけないですか?」という質問を患者さんから受けます。高血圧をそのまま放置しておくとなぜ良くないか、ということについてお話しします。

ほとんどの人が自覚症状を持たず、日常生活に支障がないため、高血圧を指摘されてもそのまま放置していることが多いようです。放置しておくと動脈硬化が進行し、さまざまな合併症(脳血管障害、狭心症、心筋梗塞(こうそく)、腎不全、解離性動脈瘤(どうみゃくりゅう)、閉塞性(へいそくせい)動脈硬化症など)を引き起こします。

高血圧の怖いところは、自分の体に異常を感じるころにはかなり病気が進んでいることが多く、「静かなる殺人者(サイレントキラー)」とも呼ばれます。

収縮期血圧(上の血圧)で140mmHg、拡張期血圧(下の血圧)で90mmHg以上を高血圧と定義しています。年齢や合併症の違いなどから一人一人の降圧目標値は異なります。日本人の80〜90%は特定する原因のない本態性高血圧です。

もともと高血圧になる素因がある人に、塩分の多い食事や飲酒、ストレス、運動不足、肥満などの環境因子が影響して高血圧になることが分かっています。従って高血圧を指摘されたら食塩摂取量は1日6グラム以下を目標にして標準体重を維持するように心がけましょう。喫煙は血圧を上げる方向に働き、動脈硬化を促進させる大きな原因ですので禁煙はとても大事です。飲酒は血圧の上昇を招くので適量にとどめましょう。

次に運動療法は全身を動かして、大量の酸素を取り込む有酸素運動を無理なく続けることが効果的です。生活習慣の改善を行っても血圧が目標値まで下がらない時には、医師の指示に従って降圧薬を飲むことが必要です。

治療の最大の目的は長期に血圧を良好にコントロールし続けることによって、合併症を予防することです。元気な状態で寿命を延ばしましょう。

高血圧の方は基本的には長期間薬を飲み続けることになると思いますが、治療についてはかかりつけ医とよく相談しましょう。