1月にサッカーのアジアカップで日本代表が優勝したことを覚えている方も多いでしょう。帰国後のインタビューで、ザッケローニ監督は優勝できた理由について、チームが一丸となれたからと答えています。つまり控えの選手、スタッフ、トレーナーら関係者のすべてがいい関係を築き、力を出したことが勝因であると話していました。
医療においても、治療方針や問題に対する対策を決めたり、具体的な医療行為をする場合に、チームで仕事をすることが多くなっています。
手術をする場合には術者のほかに、助手、麻酔科医、看護師などチームで手術を行います。そのほかに緩和ケアに関しては緩和ケアチーム、感染症対策については感染症対策チーム、地震などの災害時に活躍する災害派遣医療チームなどもあります。栄養サポートチームも医療チームの一つです。
栄養サポートチームはNST(Nutrition support team)と呼ばれ、米国で誕生しました。日本では1998年ごろから活動が始まっています。医師、管理栄養士、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師などの多職種で、栄養障害がある患者さんに適切な栄養管理をするのがNSTです。
NSTは、患者さんの栄養評価を行い、適切な栄養管理を考えます。多くの場合は主治医や担当医と相談し、対策を講じることになります。例えば、病気で食事が取れなくなった患者さんがいた場合、原因や栄養状態などにより、点滴による栄養がいい場合もあれば、経管栄養(チューブを胃や腸に留置し栄養剤を注入する)がいい場合もあります。また、栄養内容はどういったものがいいのか、カロリーは、投与方法は―などの問題が出ます。患者さんによって一番いい方法は違ってきます。
多職種によるチーム医療は現在では多くの病院で行われていますが、患者さん本人が主役であり、ご家族の方もチームの一員であることは言うまでもありません。サッカー日本代表のように患者さんを中心に医療チームが一丸となり、病気やけがに対応していけたらいいと思います。