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男性の更年期障害(2011年3月1日掲載)

外間 実裕・沖縄赤十字病院

悩める人を病院へ

男性にも女性と同じように更年期障害があることをご存じですか。最近テレビでも特集されていました。今回はそれを簡単に説明したいと思います。

男性もある年代になると、やる気が出ない、だるい、いらいらする、不眠、性的な興味が減るなどの更年期症状が出てきます。原因は、心の問題と男性ホルモンの減少の大きく二つに分かれます。男性ホルモンには骨や血液を作ったり、性欲や頭の働きを保ったりする働きがあるので、そのホルモンが低下すればいろいろな異常が出てくるのは当然ですね。ただ、精神的なストレスでも、男性ホルモンとは関係なしに同じような症状が出てくることがあります。ですから、よくお話を聞き検査をして診断します。

男性ホルモンの減少が原因の時は注射でホルモンを補充することでゆっくりと症状を改善させることができます。一方で、心の問題が関わっている場合は心療内科や精神科の医師のお力がぜひ必要となってきます。

販売業を営む52歳のAさんは男性更年期の症状を訴えて受診されました。周りの人に相談できず、やっと受診した近所のお医者さんに体には何も異常がないと言われたとのこと。でも話を聞いていると、仕事の人間関係が難しいこと、年ごろのお子さんたちとうまく話ができず病気がちの親の面倒を見ていることや複雑な親戚関係で心休まる時がないことなどを話してくれました。何より一番の悩みはいつも優しい奥さんに感謝の気持ちや態度を示すことができないことでした。誰だってあなたのような立場になったら同じようになりますよと伝えると表情が和らぎ、今後のことを相談されました。

本来男性は心の悩みを他人に相談するのが下手なようです。ちょっと周りに相談すれば解決するかもしれないのに、人に弱さを見せたくないという男のプライドが邪魔するのか病院にすら行きたがりません。女性の皆さん、怒らないで優しく男性を見守りそして力になってやってください。

映画に登場する高倉健のように男って本当に不器用な生き物なんですね。