脳卒中で入院した男性の息子さんにあてた手紙を書いてみました。脳卒中について知る参考になればよいかなと思います。
小学生の君へ
お父さんが退院するね、おめでとう。脳卒中になって片方の手足が動きにくくなったけど、君のお父さんはリハビリを頑張った。毎日3時間、家に帰らずにリハビリ訓練を何カ月もしてきたんだ。病棟も生活の力をつけるリハビリの場だから、24時間リハビリだったんだよ。そしてできる限りの生活の力を身につけて、退院することになったんだ。ほめてあげてね。誇りに思ってもいいと僕は思うよ。
入院の間、気持ちが落ち込むこともあったけど、家族の力ってすごいね。君が面会に来るだけで生き生きとリハビリしていたよ。僕からも言わせてもらうね、ありがとう。
これからは、時間を見つけて家族みんなで外に出かけるといいよ。花見がいいかな、ハーリーがいいかな、花火大会もいいね。そのためにリハビリしたんだ。でもお父さんのペースに合わせてね。つえや足につける装具を使いこなしても、一番得意な速さがあるんだ、君にとってはゆっくりに見えるかもしれないけれど。それから、お父さんは一生懸命気をつけて歩いてるんだ。でも脳卒中という病気のせいで左側や右側を見落としてぶつかっちゃうかもしれない。一生懸命だと気をつけることを忘れてしまうときもあるんだ。うまく声をかけてあげてね。
普段身の回りのことをするときもそうだね。できるようになったことは、時間がかかっても(とても急ぐときは別だけど)自分でやってもらうことも大切だね。でも、できないことは手を貸してあげてね。どんな要領か、専門の医者や訓練士にきいておくといいよ。入院中に練習したことが家でもできるように、繰り返し慣れることが大切なんだ。
さあ、これからが本番、生活の力が発揮できるように一緒にやっていこう。生活に慣れたら、仕事も考えていくよ。介護保険のケアマネジャー、医者、リハビリの訓練士、医療相談員、病院のみんながこれからもついているからね。何か相談があったら、外来でいつでも話してね。