アレルギー疾患には(1)アレルギー性鼻炎(2)アトピー性皮膚炎(3)気管支喘息―の3大疾患があります。その中でもアレルギー性鼻炎は日本人の4人から5人に1人が発症すると言われ、最もポピュラーな疾患です。春先に本土で大勢の人が発症するスギ花粉症もその一疾患です。
私たち耳鼻科医がアレルギー性鼻炎を治療する際、鼻内所見および患者さんの訴え、加えて鼻汁検査や血液検査で診断します。この中で最も重要なのが患者さんの訴えです。くしゃみ、鼻汁、鼻閉(鼻づまり)のほかに頭が重い、せき、耳やのどのかゆみなど診察時には医師が診ることのできない症状もあるからです。また、これらの症状がどの程度なのかうまく伝えることが大切です。
「今日はどうしましたか?」との問い掛けに「娘が行けと言うから来ました」と答えられるお年寄りもいました。確かに自分の症状を的確に伝えるのはなかなか難しいものです。
いつから鼻汁・鼻閉・くしゃみがあるのか、くしゃみは1日に10回以上か、鼻は1日に10回以上かむのか、鼻閉で寝苦しいのか、年中症状があるのか季節性か、晴れた風の強い日に症状が強いか、猫や犬などペットに接触して発症しないか―など、気付いたことを教えてください。耳鼻科医は患者さんの所見と訴えを参考に、原因を推測し、重症度を診断し、また季節性か通年性か判断します。
治療方法は内服薬と点鼻薬を中心に重症度に合わせて処方します。加えてレーザー治療や外科的治療または減感作療法を行います。治療効果の判定にはやはり患者さんの「軽くなった。良くなった」「変わらない」と評価の言葉が必要です。小さなお子さんをおばあちゃんがクリニックに連れて来られることがよくあります。同居していない同伴者には、受診前に子どもの症状を詳しく伝えてください。
昨年末、このコーナーで患者さんと治療者の協力や共同作業で治療が成り立つという「治療同盟」のお話がありました。どうか「カマジサーの医者」を怖がらず、共に治療を行っていきましょう。