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てんかん(2011年1月18日掲載)

饒波 正博・沖縄赤十字病院

専門外来受診お勧め

孔子に「必ずや名を正さん乎」という教えがあります。事を始めるにあたって、まず正しい言葉を正しく使うことから始めなさい、という意味です。これに習い「てんかん」についてのお話を始めるにあたって、まず言葉の説明から入りたいと思います。

「てんかん」に似た言葉に「けいれん」という語があります。「てんかん」は病名で「けいれん」は症状です。「けいれん」というと自然に手足がガクガクしだすことで「てんかん」の重要な症状の一つです。ところが「けいれん」を引き起こす病気はまだいくつもありますし、反対に「てんかん」という病気の症状は、「けいれん」以外にもまだいくつもあります。

例えば、手足のガクガクなしにその場で倒れてしまうという発作、突然ボーっとしてしまい呼びかけに応じなくなってしまう発作、夢遊病のように歩き回る発作もあります。ですから「てんかん」を正しく診断するためには、このような多彩な症状をよく知る専門の医師が、患者さんの話をよく聞き、時間をかけて症状を追跡することがなによりも大切なことになります。

正しく診断がつけば、次は治療です。「てんかん」の治療は、お薬による発作のコントロールが主になります。本邦ではこれまでここに大きな問題がありました。海外で効果があると報告されているにもかかわらず、日本で使用できないてんかんのお薬が数多くあったのです。

されど御安心を。ここ2〜3年の間に、これらの薬剤が次々と認可され日常診療で処方できるようになりました。「てんかん」の患者さんにとって、これは大きな朗報です。これら新薬の恩恵をじゅうぶんに引き出すためには、新薬の効果、副作用を熟知した専門家の診察が必要となります。

以上の2点より、「てんかん」の診断、お薬の選定に関してはてんかん専門外来を受診されることをお勧めいたします。