熱性けいれんは高熱によって誘発されるけいれんです。日本人の場合はすべての子どもの7〜8%にみられる非常に頻度の高い病気で、6カ月から5歳の間にみられます。けいれんの引き金の熱は風邪によるものが多く、けいれんは2〜3分で自然にとまります。熱性けいれんは予後が良好で、ほとんどの場合治療も必要とせず、脳にダメージも残りません。多くの子どもは1回しかおこしませんが、約30%の子は2回目を、約10%の子は3回以上おこします。
けいれんは、それを見る人にとっては衝撃的な出来事であり、けいれんによって死んでしまうのではないかと思うほどで、親は何をしてよいのか分からなくなるのが普通です。子どもがけいれんをおこしたら次の3点に注意してください。
(1)口の中に何も入れない。多くの人はけいれんによって舌をかみ切ってしまうか、舌を飲み込んで窒息してしまうのではと思い、スプーンやはしを無理に口に入れようとします。実際にはそのようなことはおこらず、むしろ嘔吐(おうと)を誘発し誤飲性肺炎をおこしたり、口の中を傷つけたりしますので百害あって一利なしです。
(2)側臥(そくが)位(横向き)にする。嘔吐した場合、吐いた物の誤飲を防ぐためです。
(3)けいれんを観察する。気持ちが動転してしまい、余裕がないのは当然ですが、できたらけいれんを観察してみてください。けいれんがどれくらい持続するのか、また全身性か局所性(身体の一部分)かを気をつけて見てください。
多くのけいれんは2〜3分以内にとまります。けいれんのあとは、少しぼーっとしたあと眠ることがほとんどで、その時点ではけいれんは終わっています。けいれん自体は、けいれん重積(30分以上続くけいれん)以外では脳に障害をおこさないといわれています。3分以上けいれんが続く場合は救急車を呼ぶ必要がありますが、それ以外の時は落ち着いて病院を受診してください。