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脈拍数(2010年10月5日掲載)

比嘉 啓・首里城下町クリニック第一・第二

運動、体調の目安に

去った夏休みに、登山での体調変化を自由研究の宿題にと考え、息子と初めて富士登山に挑戦しました。当日は山を登るにつれ脈拍数は増加しましたが、その後高山病で体調を崩した際にはさらに急激に上昇しました。このように脈拍数は運動や体調不良で増加することをご承知かと思います。今回はその脈拍数と運動負荷について述べたいと思います。

皆さんもメタボリック症候群をご存じかと思います。その解消としてよく運動(主にウオーキング)が勧められます。その際に「どの程度の運動がいいですか?」と質問されることがあります。そこで指標の一つとして挙げられるのが脈拍数です。

ヒトの脈拍数の最大値は年齢とともに低下し、一般的に「220―年齢数」といわれます。また安静時(一般的には起床時の)脈拍数を測定することによって、その人の変動可能な脈拍数が分かります。メタボ解消に役立つ運動とは、息がはずむ程度の運動といわれています。これは脈拍数でいえば安静時に変動可能な脈拍数の50〜60%上乗せした状態といわれます。

例を挙げてみますと50歳の方で安静時脈拍数が60の場合、最大脈拍数は220―50(年齢)=170で、変動可能脈拍数は170―60(安静時脈拍数)=110となります。その50〜60%というのは、55〜66となりますので、60+(55〜66)=115〜126です。この程度の脈拍数になる運動が、メタボ対策に効果的となります。

脈拍のチェックについては、運動中は手首だと分かりにくいので、10秒程度立ち止まって首の動脈を触って測り、1分間に換算するといいと思います。なお血圧の薬などを内服中の方は、心拍数に影響のある薬剤もあります。その場合は、前述の数値はあくまでも目安と考え、主治医とよく相談されてください。

ところで冒頭にも触れました通り、脈拍数の増加は体調不良のサインにもなります。日ごろから自分の脈拍数を知り、運動や健康管理に利用されてみてはいかがでしょうか。