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サプリと慢性腎臓病(2010年9月28日掲載)

宮良 忠・那覇市立病院

種類、量次第で悪化も

昨今健康に対して意識向上がみられ、予防医学についても多数の研究などがなされています。その中でもわれわれが簡単に実践できるものにサプリメントがあります。本来サプリメントとは「補うこと」を意味しています。つまり、健康維持や栄養補給をする食品を指します。普段の食事に気をつけて、食べ物から栄養を体に取り入れるのが一番自然な方法ですが、毎日バランスの良い食事をして、必要な栄養成分をすべて食事で摂取というのはなかなか難しいものです。

日常診療で「何を食べれば血圧が良くなるか」「何を飲んだら血糖値が下がるのか」などサプリメントに関して質問されます。実際は栄養が不足して補うことが必要ではなく、塩分過多やカロリーオーバーなど過量摂取が原因の一つであることに気付かれていません。

ところで、食事制限が重要な疾患に慢性腎臓病があります。慢性腎臓病は高血圧、糖尿病などの生活習慣病とも深い関係があるため塩分制限やカロリー制限が重要です。さらに腎機能低下がひどくなるとカリウム制限(生野菜、果実などに多い)やたん白質制限が必要になってきます。過度な食事制限のため必要な栄養素さえ不足する場合があります。そのような時はサプリメントが有効な手段となりえます。

しかし、基礎疾患や体質によりサプリメントが有害になることもあります。特に体内から老廃物を排せつする重要な臓器である腎臓機能低下がある慢性腎臓病の場合は注意しなければなりません。サプリメントの種類や摂取量によっては体調不良や腎機能悪化を引き起こすことがあるからです。例えばビタミンAの摂取は控え、ビタミンB群は摂取した方が良いといわれています。市販の胃薬でアルミニウムが含まれているものは、透析患者では体内に蓄積するため用量の調節が必要です。青汁などはカリウム含量が多く注意が必要、などいろいろとあります。

サプリメントは有効で手軽な補助となりえますが、基礎疾患がある場合はかかりつけ医と相談してから摂取することを強くお勧めします。クスリは裏返すとリスクですから。