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臓のリハビリ(2010年9月14日掲載)

新城 哲治・豊見城中央病院

軽い運動効果抜群

心臓病は以前、入院中の運動は危険であるとして安静にしていることが、基本的な治療法でした。私どもも心筋梗塞(こうそく)や心不全で入院してきた患者さんに「心臓を休めるためにまず安静にしてください」と言ってきました。近年、心臓病の患者さんの早期社会復帰を目指すためだけではなく、再発予防のためにも、心臓および全身血管のリハビリテーションが入院中から積極的に行われてくるようになりました。

心臓リハビリテーションにより死亡率が25%以上減少する、との報告が数多くでてきています。近年、心臓病の薬も非常に進歩していますが、心臓リハビリテーションほどの効果のある薬はありません。

入院中と、引き続き退院後4〜5カ月は外来にて心臓リハビリテーションを行っています。週2回、1回1時間30分行われます。まず医師、薬剤師、栄養士らより20分の心臓病に関する講義があります。その後、看護師が患者さんの状態を確認した上で、医師の処方に基づき、患者さん全員一緒にウオーミングアップ、クールダウンを含めて1時間、体を動かします。運動は心電図、脈拍、血圧をモニターしながら、運動指導士の指導により行われます。今までリハビリテーション中に心臓の発作を起こした人はおらず、安全に施行できています。

自宅でもできる限り毎日、30分から1時間の運動を勧めています。運動の強度は隣の人と話せる程度がよく、息が弾み話ができなくなるほどでは強すぎます。心臓病患者さんには基本的にはやや速足のウオーキングを勧めています。

このように単に運動だけではなく、個々の患者さんの病状にあわせたきめの細かい食事、服薬等を含めた生活習慣改善の説明を行い、患者さんに十分納得してもらいながら、心臓だけではなく、全身の動脈硬化進展を防ぐためのリハビリテーションが現在の心臓リハビリテーションです。

残念ながら、心臓の治療を行っている病院で、心臓リハビリテーションを実施している病院は、全国でもいまだに10%にも届きません。今後増えていくことが期待されています。