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コンタクトレンズケア(2010年8月31日掲載)

城間 弘喜・やえせ眼科

清潔保ち感染予防

アメーバと聞くと何かスライムのような生物を想像するかもしれません。実は数年前よりアメーバ(正確にはアカントアメーバ)による感染症が若者に激増しており眼科医の間では注意しなければならない病気の一つとなっています。原因は不十分なレンズケアがほとんどです。

レンズの種類は従来のソフトレンズ、使い捨てレンズ(特に2週間タイプ)に多く発生します。アメーバは自然界に多くいますが、水道水にも存在します。生存条件が悪い場合はシストという丈夫な殻を作り、その中でおとなしくしています。汚れたレンズやケース中に付着していることが多く、いったん角膜の中に入ってしまうと殻を破って発育、増殖します。

感染初期は、痛み以外に症状が少なく診断が難しい場合があるのですが、進行すると黒目に強い濁りを作り、視力低下などの後遺症を残します。さらに重症な場合は角膜移植が必要になることもあります。

さて、このアメーバによる感染を防ぐにはどうしたら良いでしょうか。それはレンズケアを正しく行うしか方法がありません。清潔な手でレンズを十分にこすり洗いする(裏表それぞれ20秒以上)、レンズケースを毎日洗い必ず乾燥させる、洗浄液も使い回さず毎日交換する−以上のことを守れない方は、ハードレンズまたは一日使い捨てのワンデータイプが良いと考えます。ドラッグストア等で販売されているMPS(洗浄、すすぎ、消毒、保存が一度でできる液)は、こすり洗いをしっかりしないと消毒効果は低いと言われています。

日々の診療でコンタクトレンズ装用者の低年齢化を実感します。しかし、レンズケアの大切さへの意識が低いように見受けられます。小中高生の親御さんは、不十分なケアによる危険性を十分理解し、適切に行うようご指導を、そして眼科専門医師による定期検診をお願いいたします。

コンタクトレンズは心臓ペースメーカーなどと共に高度管理医療機器に指定されています。間違った使用法、不十分なケアで多大な危険を及ぼす可能性があることを広く啓もうしていこうと考えています。