沖縄県医師会 > 健康の話 > ドクターのゆんたくひんたく > ドクターのゆんたくひんたく2010年掲載分 > お薬手帳

お薬手帳(2010年8月24日掲載)

尾原 晴雄・県立中部病院

安全医療へ重要情報

「何か飲んでいるお薬はありますか?」。医療機関を受診される際に、担当医から必ずと言ってよいほど尋ねられる質問です。皆さんは、ご自身が服用されているお薬をご存じでしょうか?

「白い粒を朝1個」と覚えている方は多いですが、残念ながら白い粒だけでは情報不足です。「Aという血圧を下げる薬を何ミリグラム、朝1回飲んでいます」と答える方はそう多くはありません。1種類ならともかく、複数の薬を、1日何回も飲んでいる方は、さらに難しくなりますし、複数の医療機関からお薬をもらっている場合には、もっと大変です。

このように薬の確認を行う理由は、いくつかあります。飲んでいる薬の副作用が困っている症状や検査値の異常の原因である場合もありますし、新しく薬を処方しようとする際に、普段飲んでいる薬との飲み合わせが大丈夫かどうか、考える必要があります。また、胃カメラなどの検査を行う場合に、薬によっては数日前から休薬しなければならない薬もあります。担当医は、どのような薬を、いつから、どのくらいの量を飲んでいるかをしっかりと把握する必要があるのです。

とは言っても、薬の名前はカタカナですし、たくさん飲まれている方にとっては、全部覚えるのは簡単ではありません。そこで、薬局などで無料で配られている「お薬手帳」の出番です。

お薬手帳には、今処方されている薬の名前、用量、用法、処方日数、処方日、通院先など、必要な情報が記載されています。複数の医療機関に通院している方でも、一つの手帳を使うことで、担当医、担当薬剤師が、皆さんの飲まれているお薬を正確に知ることができるのです。

夜間の救急外来を受診する場合や、初めての医療機関を受診する場合には、必ずお薬手帳や飲んでいる薬の説明書を持参してください。まだ手帳をお持ちでない方は、ぜひ次回受診時に作ってください。

大切な薬の情報を新たに受診する医師に手渡すことで、より安全で質の高い医療を受けることができると思います。