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帯状疱疹(2010年8月17日掲載)

玉城 徳光・恩納クリニック

水痘ワクチンで予防

皆さんは帯状疱疹(ほうしん)という病名を聞いたことがありますか。帯状疱疹は水ぼうそうと同じウイルスが引き起こす病気です。

水ぼうそうにかかり、それが治った後も、ウイルスは神経の根元に潜んでいます。その後長い間何の症状もなく経過しますが、ある時ウイルスが再び活性化し、皮膚の神経に沿って増殖し、その神経領域の皮膚に、水泡を伴う赤い帯状の発疹(はっしん)が出現します(帯状疱疹の発症)。

通常、体の左右どちらか一方に出現し、ピリピリした痛みを伴うことが特徴です。時にはこの神経痛が数カ月から数年間続き患者さんを悩ませることがあります(帯状疱疹後神経痛)。帯状疱疹後神経痛を防ぐには、帯状疱疹の発症早期から抗ウイルス薬を中心とした適切な治療を受けることが大切ですが、不運にも帯状疱疹後神経痛に陥った場合でも、傷つき過剰に興奮した神経に直接作用して痛みを鎮める新しいタイプの薬も今年から使用可能になっていますので、帯状疱疹後神経痛で困っている人にとっては朗報です。

ところで帯状疱疹にかからない方法はないでしょうか? 可能性のある一つの方法としてワクチン接種が挙げられます。小児期に水痘ワクチンを接種し、水ぼうそうの発症を予防できた場合、または水ぼうそうにかかっても軽症で済んだ場合に、その2次効果として帯状疱疹の発症も予防できる可能性があると考えられています。

水痘ワクチンは数千円の自己負担がかかる任意予防接種ですが、そういった視点も加えて、免疫不全等ワクチン接種が不適当な場合を除いて、積極的に予防接種を検討していただきたいと思います。

また、過去に水ぼうそうにかかった場合でも、水痘ワクチン接種によって、帯状疱疹の発症を予防しうることが60歳以上を対象とした海外の大規模調査で確認されています。

帯状疱疹の多くは60歳以降に発症します。今のところ一般化はしていませんが、帯状疱疹の予防として、還暦を迎えたら水痘ワクチンの接種を行うことも一つの選択肢になりうると思われます。