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人工関節(2010年8月10日掲載)

古堅 隆司・大浜第一病院

術後の定期診察必須

人工股(こ)関節って聞いたことがありますか?

今ある股関節(足の付け根の部分)を、金属と強化プラスチックでできた人工のものに置き換えることを人工股関節置換術(THA=ティーエッチエー)といいます。各年齢に応じて股関節の病気はいろいろありますが、病気が悪化すると最終的に関節の軟骨がすり減った状態、変形性股関節症になります。

診断では、レントゲンで股関節の変形を認めます。症状としては、痛みがあったり、関節の動きが制限されたり、横すわりやあぐらがきつくなったりします。また、靴下の着脱や足のつめ切りがやりにくくなったり、和式のトイレに入れなくなったり、足を引きずる状態が続いたりします。腰痛、ひざ痛がなかなかよくならないこともあります。

人工股関節置換術は、股関節の痛みを軽減します。手術によって歩きやすくなり、日常生活で制限されていたことができるようになります。しかし、人工関節はもともと体の一部ではなかった器械なので、定期的な外来受診によるメンテナンスが必要になってきます。

骨粗鬆(こつそしょう)症など、骨は年をとります。しかし器械(人工関節)は年をとりません。そのため、周囲の骨が年をとれば、器械との間に「ゆるみ」が生じてきます。そうなると、がたつきが起きて再び痛みが出てきます。痛みが出る前に「ゆるみ」を発見し、適切な対応(治療)をするためにも定期的な外来受診・レントゲンチェックはとても大切です。特に、手術の直後から経過を追ったレントゲンが重要になってきます。

今後は、人工関節の取り換え(再置換術)の必要な患者さんも増えてくることが予想されます。従って人工関節置換術を行う病院は再置換術まで行う準備をしなければならないでしょう。そのためにも人工股関節置換術を行う整形外科医は、常に手術した患者さんの定期的な診察を行っています。

人工関節置換術を受けた方はぜひ、手術を受けた病院で定期的な診察を受けてください。