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貧血(2010年8月3日掲載)

下地 忠夫・下地内科クリニック

女性に多い鉄分不足

最近は検査機器の性能が大変向上し、大きな病院でなくても気軽に貧血の検査ができるようになりました。琉球新報の購読者の皆さんがドックや検診で、あるいは病医院を受診した際に貧血といわれた場合どう考えればいいか、簡単な目安をお話しします。

(1)生理のある女性、成長期の子女の場合。

ほとんどが鉄欠乏性貧血です。まず大きな心配はいりません。通常、鉄に関するじゃっかんの血液検査の追加と腹部エコー等の検査、鉄剤の投与ぐらいで十分です。

(2)中年男性など(1)以外のすべての方。

胃潰瘍(かいよう)などを代表とする何らかの消化管出血による可能性があります。胃カメラ、大腸カメラ等の精査が必要です。

上記以外では、白血病などの血液の病気、腎不全やリウマチ等に付随して起きる貧血、赤血球が壊れる溶血性貧血、ビタミンが足りない貧血、薬による貧血など実に多くの原因や背景があります。免疫学的な検査、赤血球の形態学的な検査、骨髄の検査、基礎疾患や常用薬に対する幅広い問診などたくさんの検査やお話が必要になります。検査データを持参して総合内科や血液内科を受診しましょう。

次にもっとも頻度の高い鉄欠乏性貧血についてお話しします。生理のある女性の方は食事からとる鉄の量と生理などで体から失われる鉄の量がほぼ等しいので、ちょっとダイエットしたり生理が多かったりすると簡単に鉄欠乏になります。一度貧血に陥ると食事療法やサプリメントで改善するのは困難です。病院を受診しましょう。

鉄剤の内服においては、少量でも長期間内服することが大切です。食前・食後・就寝前、お茶や牛乳と一緒に飲むなど、飲み方に神経質になる必要はありません。薬の内服と同時に鉄を多く含む食べ物(肉・魚・緑の野菜・わかめ類など)をとる習慣を身に付けましょう。ただし、肝臓の病気など、鉄を多くとると逆に悪くなる病気もありますので、主治医と相談しましょう。