昔の沖縄では、アンマーたちが小さい子供たちに災いが降りかからないように、「アンマークートゥー」と言って子供のみけんにアンマーの唾液(だえき)を塗っておまじないをしてくれました。子供は見知らぬおばあさんからもアンマークートゥーをされて地域で大切に育てられていました。良くないことをしたら、こっぴどくしかられながら地域で優しく育っていきました。アンマーたちが小さな子供たちへの深い愛情を込めてアンマークートゥーをする原風景は最近は見かけなくなりました。
さて、今年の7月から沖縄県において小児救急電話相談事業(#8000事業)が開始されました。#8000事業は子供の急病の時にどの様に対応すれば良いのか分からなくなってしまった保護者のために、#8000を電話すればベテランの看護師や医師によって急病に対するアドバイスを受けられるという事業です。すでに他府県では5年ほど前から導入され、沖縄県だけがまだ開始できなかった事業です。
このほど沖縄県医師会が沖縄県よりの委託を受け県看護協会の協力を得て、ようやく始まりました。電話相談は365日、午後7時から午後11時まで受け付けます。日ごろの診療に多忙を極め、疲弊の問題が深刻な小児医療を中心とした多くのスタッフがこの事業にかかわっています。
この#8000事業が疲弊した小児救急医療に何らかの良い効果をもたらすことを期待していますが、コンビニ受診などの問題がこの事業で好転するかどうかはやってみなければ分かりません。そして#8000はあくまでも電話相談であり、電話一本で正確な診断や判断を求められても限界があるのです。県民に#8000を正しく理解していただき、上手に利用してもらいたいと願っています。
#8000は隣のおばあさんに相談するような感覚で、ぜひ気軽にご利用されてください。#8000にかかわるスタッフは、沖縄県の子供たちとその親御さんたちを少しでも安心させるため頑張ります。「アンマークートゥー」と心でつぶやいています。