最近、日本人の大腸がんが増えてきました。日本人のがんによる死亡率の変化をみると、胃がんが減少し、これまで欧米諸国で発症率の高かった大腸がんが増加しています。しかも、日本人女性でのがんによる死因の第1位は大腸がんが占めるまでになっています。大腸がんが増加している原因のひとつとして、肉類を中心とした食生活の欧米化が挙げられます。
大腸がんと関係が深い欧米型の食事は、肉類が中心であるため脂肪と動物性タンパク質が多く、野菜などの食物繊維を多く含む食材の摂取量が少ないという特徴があります。脂肪や動物性タンパク質の多い食品を取りすぎると、それを分解する過程で発がん性がある代謝産物を生じると考えられています。
これに対し、食物繊維は腸内で消化吸収されずに発がん性がある代謝産物などを吸着しながら便として排出するので、腸のお掃除役となります。食物繊維を多く取ると、便の量が増えて便通がよくなり、便秘の解消につながります。これにより、発がん性がある代謝産物が腸の粘膜に接触する時間が短くなります。
食生活の欧米化を改善するには、まず普段の食事内容を見直してみましょう。脂肪と動物性タンパク質を取りすぎないようにするための簡単な方法は、カタカナで表記される洋食メニューを避け、従来日本人が食べていた和食メニューを選ぶことです。
野菜の煮つけやきんぴらごぼう・ひじき・煮豆など、玄米や麦飯などの穀物やごぼう・豆類・イモ類など繊維質の多い食材を使ったメニューを選ぶことによって、脂肪や動物性タンパク質の摂取量は控えられると思います。もちろん、偏らずにバランスよく食べるのが大切です。
また、食事の見直しばかりではなく、過度の飲酒や喫煙を避け、運動不足にならないことは言うまでもありません。普段の食生活を見直すことにより快食・快便を心がけ、定期的に大腸がん検診を受けて、大腸がんを予防しましょう。