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頭部打撲(2010年4月20日掲載)

佐村 博史・さむら脳神経クリニック

6時間は様子見て

今日は頭をぶつけた時の注意点についてご説明いたします。頭蓋骨(ずがいこつ)はお皿のようなものですから、多少骨折しても、どうってことありませんが、骨折した瞬間に内側にある血管を傷つけて、そこからジワジワと出血することがあるのです。頭蓋骨内の容積は一定ですので、腫瘍(しゅよう)であれ血液であれ、空気や水であれ余計なものが入り込むと、脳を圧迫し障害を起こします。

頭部外傷では、頭蓋骨との間に凸レンズ状に血の塊が形成され、脳を圧迫することがありますが、これを急性硬膜外血腫といいます。急性硬膜外血腫では、頭をぶつけた時は大丈夫でも、徐々に出血量が増加することで脳への圧迫も徐々に強くなり、ある時症状を出してくるのです。それがだいたい6時間以内といわれていますので、頭をぶつけた時は最初の6時間は気を付けてください。

では、どんな症状が出るのでしょうか?

まず頭痛です。頭痛がどんどんひどくなってくる場合、血腫を形成しているかもしれません。また、ゲーゲーと何度も吐く場合は、頭の検査をした方が良いでしょう。また、手足の動きが悪くなってくる場合、運動神経領域が圧迫されてまひを生じているかもしれません。子供の場合、ひとしきり大泣きすると泣き疲れて寝てしまうことが多いのですが、寝返りも打たないという場合はまひが起きている可能性もありますので要注意です。あとは、けいれんしたり、物が二重に見えたり、意識状態が悪くなるような場合は、急いで病院へ連れて行かなければなりません。

頭部打撲後6時間以上たってもこのような症状が出ない場合は、高齢者や血友病など非常に特殊な血液凝固障害を持っている方以外は、特に心配はいりません。

ラグビーやボクシングなど頭に受傷する危険が高いと思われていますが、重症頭部外傷の比率が最も高いスポーツはゴルフです。ゴルフ愛好家の皆さまは今一度ルールブックをよく読まれて、ゴルフクラブで誰かの頭をヒットしないように注意してくださいね!