沖縄県医師会 > 健康の話 > ドクターのゆんたくひんたく > ドクターのゆんたくひんたく2010年掲載分 > 息切れ

息切れ(2010年4月13日掲載)

宮城 茂・国立病院機構沖縄病院

酸素不足の注意信号

息切れとは普段は意識せずに行っている呼吸が、無理やり努力して大きな呼吸をさせられていると感じさせられる不快な呼吸の状態をいいます。その時の体の状態に必要な酸素が不足してきましたとの信号です。どの様な時に息切れを感じるのでしょうか。

激しい運動をしたり、重い物を持ち上げて動いたり、高い熱がでている時などには安静時よりも多くのエネルギーが必要であり、健康な人でも息切れを感じる事があります。

人の細胞が生きていくには、エネルギー源となる食べ物と、それを燃やすための酸素が必要です。運動時や高熱がでた時などには多くのエネルギーが消費されると同時に、酸素もたくさん必要となります。多くの酸素を取り込むために体全体を使い、大きく速い呼吸をして多くの酸素を取り込もうと努力するのです。その様な場合の息切れは正常な体の反応といえます。

日常の生活の中の軽い労作で息切れを感じる時、例えば以前は平気だったちょっとした坂道を登ったり、2、3階への階段の昇降で息切れを感じたり、同年配の人と同じペースで散歩ができず付いて行けなくなったり、買い物などで荷物を持って歩くのに息が荒くなったりなどの症状がでてきた場合には注意が必要です。

安静時には気づかなくても既に健康な人に比べて体の中に酸素を取り入れ、運搬する機能がどこかで障害を起こし予備能力の低下を示している可能性があります。

空気中の酸素は肺で取り込まれ、血液に乗って心臓から全身の細胞に送られます。従って肺疾患や、心疾患、貧血、呼吸を助ける筋肉や神経の障害なども息切れの原因となり得ます。

中でも、息切れが徐々に進行し悪化する喫煙が原因となる慢性閉塞性(へいそくせい)肺疾患(COPD)が特に多く、その後の病気の進行を防止するためには早期の診断と禁煙などの対策、呼吸リハビリ、薬物治療などが必要となります。

いずれにしろ普段の生活の中で息切れを自覚する場合には早めに医療機関を受診し、相談される事をお勧めします。