沖縄県医師会 > 健康の話 > ドクターのゆんたくひんたく > ドクターのゆんたくひんたく2010年掲載分 > 食後高血糖

食後高血糖(2010年3月30日掲載)

比嘉 耕一・ひがハートクリニック

動脈硬化進める

私は昨年10月1日、勤務医から開業医に変わりました。現在私のクリニックに通院していただいている患者さんの内訳は、高血圧の方7割、高脂血症3・6割、心筋梗塞(こうそく)、狭心症3割、糖尿病2割(重複しています)となっています。患者さんの5人に1人が糖尿病です。循環器の医者が高血圧、心臓病だけではなく糖尿病などの代謝性疾患も診療するのは糖尿病が動脈硬化の進行に大きな影響を与えており、60歳以上の7から8人に1人が糖尿病といわれるくらい一般的な病気になっているからです。

糖尿病はただ単に血糖値が高くなるという病気ではなく循環器の立場から見ると全身の血管に動脈硬化を起こし脳卒中、心筋梗塞、腎不全、網膜症などの原因となる血管の病気ということになります。高血糖が血管を傷つけ動脈硬化を進めます。特に食後の高血糖の害が大きいことが知られています。空腹時の血糖は良くても食後の血糖値が高い場合があり、これを¬隠れ糖尿病」と呼んでいます。食後の高血糖を治療しなければ動脈硬化の予防にはなりません。ですから病院での血糖検査も2回に1回は食後2時間の血糖を測定してもらいましょう。

また糖尿病は遺伝と関係があります。親が糖尿病の場合、その子供がある条件に置かれればほぼ間違いなく糖尿病になります。その条件が何かといえば肥満です。たとえば内臓、肝臓、筋肉などの臓器に脂肪が増えると、肝臓、筋肉での糖の取り込みが低下し食後高血糖になります。この高血糖が悪さをして悪循環がはじまるのです。

現在糖尿病といわれていなくても、将来のことはわかりません。糖尿病にならないためには太らないような食事のとり方を実践してください。また太っている人はメタボリック症候群になっていないかどうか、隠れ糖尿病になっていないかどうかの確認が必要です。次のような方々には積極的に病・医院への受診をお勧めします。親、兄弟が糖尿病といわれている人、太っている人(BMI25以上)、多忙でストレスがありそのため過食で運動不足の人―です。