沖縄に来て驚いたことの一つに、ウチナーンチュは名前を聞くと、ウチナーンチュか、ヤマトンチュか、分かるということです。ですから、私が「小山信二」と名乗ると「ヤマトンチュでしょ」と返ってきます。そうです。確かに、私は、山に囲まれた長野県生まれの、山トン中(ヤマトンチュ)です。それが、海に囲まれた沖縄(ウチナー)で開業して1年ほどになります。
さて、私のふるさと、長野県民、山トン中は、私が子どものころ、早死でした。それ以前はもっと早死で、若くして結核で亡くなる方が多かったようでした。私の子どものころには結核は克服され、命が延びました。が、今度は高血圧で脳の血管が破れて亡くなる方が多くなりました。私の母の父、つまり、私の母方のおじいさんも、脳卒中で亡くなりました。
私が育った長野県佐久、野沢の隣町の臼田には、佐久総合病院がありました。そこに地域医療の神様の1人と言われる著名な院長がいらっしゃいました。この院長は脳卒中の原因として、寒い冬にこたつにあたって野沢菜など塩辛い漬物を食べることに目を付け、生活改善運動や八千穂村の全村民健康診断を始めたことは有名な話です。
最近は、生活の仕方が改善され、また高血圧の治療薬が良くなって、山トン中は、ウチナーンチュと肩を並べるほど長寿になりました。しかし、この間にウチナーンチュの男性の平均寿命は、全国26位にまで下がってしまいました。ウチナーンチュの男性の中に、高血圧の治療を受けないで放っている方や、いったん治療を開始しても勝手に薬を止めてしまっている方が多いことが原因の一つだと考えています。医者の目からみると、薬さえ飲んでいれば命や健康が永らえるのに、と残念に感じます。
ウチナーンチュは「高血圧は怖くないが、放っておくと怖い」ということを、もう一度、思い出してほしいと思います。特定健診などで、血圧が高いといわれたら近くのクリニックに受診しましょう、ね。