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CKD(慢性腎臓病)(2010年3月9日掲載)

宮平 健・たいようのクリニック

無症状でも検査を

皆さん、CKDという言葉をご存じでしょうか? Chronic Kidney Disease(慢性腎臓病)の略語です。慢性腎炎や糖尿病性腎症などこれまで個別の病名で呼ばれていた腎臓病をまとめてCKDと呼ぶようになり、徐々に一般の方々にも知られてきたように思います。簡単に示すと(1)腎臓の形態的または機能的な異常が3カ月以上続く(特にタンパク尿の存在)(2)糸球体濾過(ろか)量(GFR)で毎分60ミリリットル未満が3カ月以上続く―のどちらかまたは両方を満たす場合をいいます。GFRは腎機能を表す数値で年齢、性別、血中クレアチニンの三つで計算します。

CKDはGFRの数値によって軽度から重度まで5段階に分類されます。このCKDがなぜ大切なのかというと、(1)患者数がかなり多い(2)脳卒中や心臓病、末期腎不全や透析の危険因子である(3)有効に治療できるようになった―ことなどが挙げられます。日本全国でCKDの患者さんは推定1330万人、成人の8人に1人はCKDといわれています。CKDが進行し重度になると透析が必要になってきます。透析になる原因で最も多いのが糖尿病で、慢性糸球体腎炎、動脈硬化や高血圧に伴う腎硬化症と続きます。この3疾患で新たに透析になる患者数の約80%を占めています。従って透析を防ぐためには糖尿病や高血圧、コレステロールなどをきちんとコントロールする必要があります。

血圧に関しては、CKDの患者さんでは130/80mmHg未満を目標にするようにといわれています。それ以前の問題として、糖尿病や高血圧にならないような生活習慣の改善が必要となってきます。最近、検診で重度の高血圧を指摘されているにも関わらず、病院を受診しない人が多いということを耳にしました。日常診療において、腎臓専門医という立場からCKDを発症させない、また進行させないように心がけていますが、最近思うことがあります。それは沖縄独特の「なんくるないさ〜」という考えではCKDの発症、進行は防げないということです。無症状でも年に一度は採血、検尿を行い、異常が見つかったら早めに医療機関を受診しましょう。