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乳がん検診(2010年2月2日掲載)

伊良波 牧子・那覇市立病院

受診増で死亡率減へ

乳がん検診を受けていますか? 沖縄県は2005年度の調べで乳がん検診率は26・2%と全国平均を上回っています。それでも4人に1人の割合で、50%にさえ程遠いのが現実です。

マスコミの影響で乳がんは怖い病気という認識は広がっていると思いますが、実際は「自分は健康だから」とどこか人ごとのような気がしていませんか?

マンモグラフィー検診受診率が70%以上の欧米諸国などでは、乳がん死亡率は減少してきています。現在20人に1人の割合で乳がん患者さんがいるといわれている日本でも、検診率を上げて、なんとか死亡率を減らしたいものです。

では、なぜ検診率は上がらないのでしょう。一つは受ける方の問題。乳がんの好発年齢は30代後半から60代であり、ある時は母であり、ある時は妻である。社会的にも重要な立場にある場合が多く、自分の病気どころではない、と検診の機会を逃す方が多いような気がします。自覚症状のない「健康に自信がある」方が多いのも現実です。

もう一つは診療自体の問題でしょうか。マンモグラフィーが痛いから嫌だ、触診がちょっと…などなど。

以前受け持った研修医に、胸の大きさを気にして「私でもマンモグラフィー受けられますか?」と尋ねられたことがあります。「大丈夫、任せなさい!」と自分のことのように自慢し、技師さんに撮ってもらいました。数分後「痛かった」とのこと。でもしっかり撮れました。一般的に痛いイメージのあるマンモグラフィー。外来でもよく「痛いですか」と聞かれます。このように痛いから、恥ずかしいからなどの理由で受けない方もやはり多いですが、この研修医のように勇気を持ってまずは受けてほしいと思いました。

検診で精密検査が必要となると、受診者の精神的ダメージは大きいでしょう。しかし、すべての方ががんというわけではないんです。要精査を見逃さないように、しかし異常としすぎないように、私たち医者も日々勉強しています。検査の精度管理も医療者側の課題だと思います。女性の皆さん。健康も含めて自己管理のできる魅力ある女性になろうではありませんか!